
転職支援の新たな展開
日本における製造をこれからどうしていくのか、組合員の雇用と労働条件に責任を負う労働組合にとって正念場を迎えている。
従来の発想にとらわれない雇用戦略を労働組合として早期に確立することが求められている。
また、製造業としての生き残りという点では、日本の工場自体をEMS化する戦略も各社で検討されている。
日本の労働組合もEMSについての総合的な検討を急がなければならない。
すでにふれたように、EMSの経営者は製造コストに強い関心をもっているが、EMSの拠点は低賃金国だけにあるのではなく、むしろ欧米に多い。
これは、技術革新のスピードが速く、製品のライフサイクルも短く、そして顧客ニーズにきめ細かく応えていくことが重要な電機・電子産業分野では、製造コストだけが製品の競争力を決定するものではなく、製品デザインや先端技術への対応という点で、製造コスト以上の立地メリットを欧米の地に見出しているからに他ならない。
また、これまで海外への生産移転は、コスト低減や貿易摩擦や為替リスクの回避などさまざまな動機をもって行なわれてきたが、今日では「顧客のそばで」ということも海外移転の重要なキーワードの一つとなりつつある。
そういう意味では欧米企業にとって欧米は最大の市場であり、日本企業にとっては日本が最大の市場の一つである。
EMSの欧米の生産拠点は、この「顧客のそばで」というキーワードを実践しているともいえる。
その他EMSには、設計から部品調達、生産そして配送まで一貫して事業運営していること、創業者社長が多く、強いリーダーシップの下に変化に機敏に対応できる迅速な経営が実践されていることなど、技術と製造の分離がすすみ、組織も巨大化している日本企業が追い求めている強みもみられる。
さらに、EMS経営者のものづくりに対する強い自信も、EMS伸張の重要な背景の一つとして考えることができるかもしれない。
単に製造のアウトソーシングということだけでなく、またEMSにいかに対応していくのかについて変な先入観をもって構えるだけではなく、ものづくりに対する考え方や経営者としての理念などEMSから学ぶべきことはないのか、労働組合としてもそうした視点からの検討が重要だ。
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